チェルノブイリ

  • チェルノブイリ
    チェルノブイリ
判型:A5判正寸並製 / ページ数:192ページ / ISBN:9784255006383 / Cコード:0036 / 発売日:2012/03/02

チェルノブイリ
——家族の帰る場所

フランシスコ・サンチェス 文 / ナターシャ・ブストス 画 / 管啓次郎 定価: 1,210円(本体1,100円+税)

在庫: 在庫あり

心は決して廃墟にはならない。

1986年4月26日に起きた、チェルノブイリ原子力発電所の恐ろしい事故。このスペイン発のグラフィック・ノヴェル(漫画)は、住みなれた土地を突然に追われ、あるいは愛した土地に留まった〈家族3世代の物語〉を描いている。論争にもセンセーショナリズムにも陥ることなく、かの土地に生きた人々が「心」に抱いた情景が浮かび上がる。チェルノブイリは決して「遠く」の出来事ではない。漫画・物語が持つ力を通じて、本書はそのことを強く訴えかけている。
原書はスペインで2011年4月に刊行され、El Mundoなど国内主要紙でも紹介。フランスでも刊行、韓国でも出版が決まっている。巻末付録として、チェルノブイリの写真なども掲載。


誤解しないでほしい、この作品はチェルノブイリを過去に、空想に、送り返そうとしているのではない。それとは正反対に、現在に、現実に、取り戻そうとしているのだ。それを通じて、一見遠い土地だとも思えるいまここで起きている状況に対するアティチュードを教えてくれようとしているのだ。
チェルノブイリの土地に住んだ人たちがいた。かれらはきみの祖父母だった。チェルノブイリの事故で死んだ男たちがいた。かれらはきみの父だった。チェルノブイリの土地を追われた家族がいた。かれらはきみの家族で、その子供はきみだ。
少なくともきみの一部がたしかにその子供でもあることを自覚したとき、このフィクショナルな迂回を経て、福島を中心とする土地で現実にいま進行していることの意味が改めて痛切にわかるだろう。やっと、わかりはじめるだろう。
(訳者まえがきより)

特設ページ

著者紹介

  • [文]フランシスコ・サンチェス
    1962年、バルセロナ生まれ/映画監督のデヴィッド・フィンチャーと同じ年に生まれる。たぶんそのせいで、これまでに2本のショートフィルムを監督してきた(『誰がムーンライト氏を殺したか?(¿Quién mató al Sr. Moonlight?)』と『作文(Redacció)』――キム・モンソによる物語の翻案)。スパイダーマンとも同い年。彼が人生の半分以上をコミックの出版と編集にささげてきたのは、あるいはそのせいか。次の本のための版元を探すかたわら、現在、何冊かの本とひとつのドキュメンタリー企画を構想中。『チェルノブイリ——家族の帰る場所』はグラフィック・ノヴェルとしてのデビュー作である。

    [画]ナターシャ・ブストス
    1981年、イビサ生まれ/チリ人の父とブラジル人の母を持ち、スペインのマラガで育つ。ごく幼い頃から鉛筆が大好きになり、日本製アニメに影響を受ける。グラナダ大学の美術学部を卒業後、一年を過ごした北京で筆と墨の使い方を研究し、現在のスタイルを確立する。スペインに戻った後は広告代理店でグラフィックデザイナーとして働き、現在は(フリーの)イラストレーター。マラガ・クレア2008 のコミック青少年賞でベスト・ドローイング賞、同年のサンタ・ポーラ コミック・コンペティションで銀賞などを受賞。サンティアゴ・ナバーロの短編にもとづく『彼女たちは特別(Ellas son únicas)』(ノバンダ・バルセロナ社、2009年)でコミックの作画家としてプロデビューする。フランシスコ・サンチェスのシナリオによる本作『チェルノブイリ』はナターシャにとってもグラフィック・ノヴェルのデビュー作となった。

    [訳]管啓次郎(すが・けいじろう)
    1958年生まれ/詩人、比較文学者、明治大学教授。主な著書に『コロンブスの犬』『狼が連れだって走る月』(いずれも河出文庫)、『オムニフォン——〈世界の響き〉の詩学』(岩波書店)、『斜線の旅』(インスクリプト、読売文学賞)、『野生哲学——アメリカ・インディアンに学ぶ』(小池桂一との共著、講談社現代新書)などがある。翻訳にマトゥラーナとバレーラ『知恵の樹』(ちくま学芸文庫)、ベンダー『燃えるスカートの少女』(角川文庫)、サン=テグジュペリ『星の王子さま』(角川文庫)など。古川日出男、小島ケイタニーラブとの共同プロジェクトとして朗読劇『銀河鉄道の夜』を制作、各地で上演中。

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