理不尽な進化

  • 理不尽な進化
判型:四六判 / ページ数:448ページ / ISBN:9784255008035 / Cコード:0095 / 発売日:2014/10/25

遺伝子と運のあいだ
理不尽な進化

吉川浩満 定価: 2,420円(本体2,200円+税)

在庫: 在庫あり

進化論が私たちに呼び覚ます「魅惑と混乱」の源泉を、科学と人文知の接点で掘り当てる、進化思想の冒険的考古学!

「生き残りをかけた生存競争」「ダメなものは淘汰される」「環境に適応しなければ」……こういった物言いを、私たちは毎日のように耳にします。

ここでは、「進化論」(ダーウィニズム)が、世の中を説明する根本原理、あるいは自然法則のようなものとして使われています。現代において進化論は、科学理論の枠を超えて、この世界を理解するための基本的なフレームワークになっているといっても過言ではありません。

しかし、進化についての私たちの常識的なイメージが、生物進化の実相とかけ離れているとしたらどうでしょうか。実は、進化論という名のもとに、私たちがまったく別のものを信じ込んでいるのだとしたら?

本書は、「絶滅」という視点から生命の歴史を眺めながら、進化論という史上最強の思想が私たちに呼び覚ます「魅惑と混乱」の秘密を明らかにしていきます。生命の歴史が教えるのは、地球に出現する生物種の99.9%以上が絶滅してしまうという事実。
この驚くべき事実から出発して、本書は、おもわず息をのむような、生物進化の「理不尽さ」という眺望にたどりつきます。それは、私たちがふだん信じている、「生き残りのサクセスストーリーとしての進化論」とは、まったく異なる認識です。

それだけではありません。超一流の専門家たち、たとえばリチャード・ドーキンスとスティーヴン・ジェイ・グールドがどうして激しく争わなければならなかったのかも、この眺望のもとで理解可能になります。そして、私たち素人と第一線の専門家がともに直面する共通の課題が浮かび上がってくることでしょう。

科学の時代における哲学・思想のありかたに関心をもつすべての人、必読の書です!

特設ページ

目次

まえがき
 この本のテーマ/誰のための本か/この本の由来

序章 進化論の時代
 進化論的世界像――進化論という万能酸
 みんな何処へ行った?――種は冷たい土の中に
 絶滅の相の下で――敗者の生命史
 用語について――若干の注意点

第一章 絶滅のシナリオ
 絶滅率九九・九パーセント
 遺伝子か運か
 絶滅の類型学
 理不尽な絶滅の重要性

第二章 適者生存とはなにか
 誤解を理解する
 お守りとしての進化論
 ダーウィン革命とはなんだったか

第三章 ダーウィニズムはなぜそう呼ばれるか
 素人の誤解から専門家の紛糾へ
 グールドの適応主義批判――なぜなぜ物語はいらない
 ドーキンスの反論――なぜなぜ物語こそ必要だ
 デネットの追い討ち――むしろそれ以外になにが?
 論争の判定

終章
 理不尽にたいする態度
 グールドの地獄めぐり
 歴史の独立宣言
 説明と理解
 理不尽にたいする態度
 私たちの「人間」をどうするか

あとがき/参考文献/人名索引/事項索引

著者紹介

  • 吉川浩満(よしかわ・ひろみつ)
    1972年3月、鳥取県米子市生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、文筆業。関心領域は哲学、卓球、犬猫鳥、ロック、映画、単車など。著述に『心脳問題─「脳の世紀」を生き抜く』(山本貴光との共著、朝日出版社)、『問題がモンダイなのだ』(山本との共著、ちくまプリマー新書)、『音楽誌が書かないJポップ批評41ブルーハーツ/ハイロウズ ヒロトとマーシーの20年』(別冊宝島編集部編、宝島社)ほか。翻訳に『マインド─心の哲学』(山本との共訳、J・サール著、朝日出版社)など。

    吉川浩満/Twitter

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