「対話」はいつ、どこででも
「対話」はいつ、どこででも
プラトン講義
斎藤忍随 著 / 後藤明生 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
プラトンの『饗宴』の面白さは、その<対話>という形式、あるいは方法にこそある。≪人間が存在するとは対話的に関係するということである≫とのミハイル・バフチンの言葉をきっかけに、プラトンを全く新しい観点から読み直す。『饗宴』末尾の、同じ作家が悲劇・喜劇双方を書くという問題から、プラトン対話篇のおどろくべき文学=フィクション性、ロシア・フォルマリスム的方法へとつながる、ポリフォーニー=対話のパフォーマンス。
後藤 (……)素材主義への批判の実践として、「対話」という新しいジャンルをプラトンが創り出した。(……)まことに革命的なスタイルを創った(……)
斉藤 そういうふうに解釈すると大変おもしろくなりますね。プラトンは喜劇詩人に対しても、悲劇詩人に対しても批判的なんですよね。不満もあるわけです。事実、批判もしているわけです。それでほんとうに理想的なドラマティスト、あるいは理想的な劇詩人と言うべきでしょうか、その詩人は両方こなせるものでなくてはいけない(……)