死の病い
死の病い
アガタ
マルグリット・デュラス 著 / 小林康夫 訳 / 関忠盛 訳
定価: 1,980円(本体1,800円+税)
夜を買われた若い女が白いシーツの上に寝ている、裸で。「あなた」は彼女と契約を交わしている。隠されているものは何もない、全面的にあなたの欲望に委ねられた女に、あなたは接近することができない。余すところなく自らを与えながら所有を禁ずるこの《異なるもの》とは何か? 無防備な同一性が、その侵し難いが故の侵犯を、破壊を、暴力を呼びおこす。ブランショが『明かしえぬ共同体』第二部《恋人たちの共同体》で読解を試みている問題作。