魂にメスはいらない
魂にメスはいらない
ユング心理学講義
河合隼雄 著 / 谷川俊太郎 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
人間の言語は象徴に満ちている。集合無意識が生得的表象可能性としてのアーキタイプを鋳るとき、非叙述的な記号やイメージは、日常世界と非日常世界をまたにかけて飛翔する。神話を読み、夢を解釈し、曼荼羅を見る。ユングの眼とは一体いかなるものか。遊戯療法、箱庭療法、アクティブ・イマジネーションなど、心の病いの時代である現代に〈魂の医者〉が、言語の可能性を追求する詩人に、豊富な臨床例をもって講義するユング心理学の心。
谷川 アーキタイプというのは一つ一つがはっきりと切り離されて独立しているんじゃなくて、アニマ、アニムスの中にも影的なものはあるし、影の中にもアニマ、アニムス的なものがあると理解していいわけですね。……そういう意味で言えば、詩のメタファーなんかによく似ていると思うんです。
河合 おっしゃるとおりです。ユングは、アーキタイプのメタファーでしかとらえることができないと言っています。ぼくがメタファーばかり使うのはそのためなんです。