本当の戦争の話をしよう

  • 本当の戦争の話をしよう
判型:四六判 / ページ数:424ページ / ISBN:9784255008165 / Cコード:95 / 発売日:2015/01/15

世界の「対立」を仕切る
本当の戦争の話をしよう

伊勢﨑賢治 定価: 1,870円(本体1,700円+税)

在庫: 在庫あり

プレハブ校舎にて、「紛争屋」が高校生に本気で語った、日本人と戦争のこれから。

「もしもビンラディンが、新宿歌舞伎町で殺されたとしたら?」
「9条で、日本人が変わる?」
「アメリカ大好き、と言いながら、戦争を止めることは可能か?」

平和を訴えても、「悪」を排除しても、戦争はなくならない。

「全ての問題には必ず何らかの政治的決着――戦争や武力闘争も含めて――があるとして、それをできるだけ早期に、そして、なるべく人が血を流さないものに軟着陸させる」

   *

僕は、人をたくさん殺した人や、殺された側の人々の恨みが充満する現場に、まったく好き好んでじゃないけれど身を置き、人生の成り行きで仕事をしてきました。
正直言って、楽しい想い出はありません。だって、今、目の前の人間が大量殺人の責任者で、自身も実際に手をかけているのがわかっているのに、笑顔で話し合わなければならないんですから。
こういう話は、日本の日常生活とかけ離れていて、別世界で起こっていることのように聞こえるかもしれない。でも、所詮、人間がすること。同じ人間がすることなのです。
なるべく、日本人が直面している問題、過去から現在に引きずっている構造的なものに関連させて、僕が現場で経験し、考えたことを君たちにぶつけてみたいと思います。
扱う国と時代を行ったり来たりすることになると思うけど、ついてきてくださいね。(「講義の前に」より)

【各メディアで大反響!】
「この本には、日本という国が世界の中でいかなる地位を占めるべきなのかという、大文字の問いへの答えがしかと書かれている。[…]若者と国家の双方に、生き方を指南できる本はそうそうない」 加藤陽子氏(毎日新聞)

「平和と戦争が、対極にあるというよりも地続きのものであるということを、豊富な事例によってあぶりだしていく。[…]平和をめぐる胆力ある議論の前提として、多くの人たちに一読をすすめたい」 熊谷晋一郎氏(読売新聞)

「伊勢崎が高校生にぶつける問いは突拍子もなく、しかし「戦争とは何か」を根底から考えるのにふさわしい」永江朗氏(Meets Regional)

「行間から死と硝煙の匂いがプンプン漂う。筆者は自ら修羅場に身を置き、不条理な現実と格闘してきた苦しみ、葛藤を率直に吐露し、さらけ出している」野中章弘氏(北海道新聞)

「この本は劇薬でもある。丁寧な議論が必要だ。その意味でも、世代を超えた生き生きしたセッションが生まれたことは素晴らしいことだと思う」永田浩三氏(週刊読書人)

「どう考え行動すれば、対立をこじらせないで生きられるのか。そんな日常を生き抜く知恵にあふれた本です。〔…〕私は、生き方の哲学だと捉えました」久禮亮太氏「(図書新聞「書店員、オススメの一冊」)

目次

まえがき

■講義の前に――日本の平和って、何だろう?
「経験者の話」を聞く前提/日本は平和ですか?/小さなもめごとがあるほうが、平和にはちょうどいい?/日本の平和は何のおかげ?/「ならず者国家」は無軌道?/平和と戦争はあいまいだ/戦争のルールは、どこまで有効?

■1章 もしもビンラディンが新宿歌舞伎町で殺害されたとしたら
23歳でインドのスラムに入り浸る/「分断」を束ねるには/「紛争屋」となり、アメリカの戦争に巻き込まれてゆく/もし歌舞伎町でビンラディンが殺害されたとしたら/首都から近い、閑静な住宅街で/自国民を「敵」にしなければならないパキスタン/日本人の主権意識が「平和」の
源?/「テロリスト」と命名されるとき/僕らは「テロリスト」の人権を考えなかった/「NGOワーカー」だった? オサマ・ビンラディン/「イスラム版ロビン・フッド」だったタリバン/ビンラディンの「人権」問題

■2章 戦争はすべて、セキュリタイゼーションで起きる
小さな町の国際紛争―シーシェパードと太地町/戦争を「つくる」/戦争プロパガンダを「毒消し」する/自衛は「固有の権利」です/家に鍵をかけない方法/9条と自衛隊/シュウダンテキジエイケンって、何?/自衛が対峙する「敵」が変わってゆく/「このままでは大変なことにな
る」――セキュリタイゼーション/悪を阻止するためなら――「仕掛け人」の正義/日本で「セキュリタイゼーション」を起こすとしたら/脱セキュリタイゼーションを生む能力/政府が「安全」を民間から調達するとき/暴走してゆく自警団

■3章 もしも自衛隊が海外で民間人を殺してしまったら
国連は官僚組織/「拒否権」で消防署が動かないと……/怖いのは、武器ではなくて人間です/「敵のいない軍隊」による軍事作戦/現場の国連平和維持軍は見ているしかなかった/『ブラック・ホークダウン』が描かなかったこと/「保護する責任」が実行されるまで/「保護する責
任」は、どんなとき、どうやって使うべき?/海外派遣に慣れてゆく自衛隊と日本人/「自衛隊を送る軍事的ニーズは、現場にはありません」/武器をもった「中立」ってありえるのか?/お金だけ出すって、恥ずかしいこと?/自衛隊が、もし海外で民間人を殺してしまったら?/戦争
の「火の用心」を実現するには/軍人が非武装で介入するとき/「首をつっこまなくてもいいんじゃないか」

■4章 戦争が終わっても
9条ディベートって、何のため?/非暴力は、軍隊を否定すること?/国をゼロから立ち上げるとき、まず必要になるものは?/初代大統領が「非軍事国家に」と言ったのに/果たせなかった「やわらかな国境」/ゼロから軍をつくるとき/世界で試みられている「やわらかな国境」/な
ぜ日本では、復讐が連鎖しなかったのか?/「なぜ日本人はアメリカを愛するのか?」/完全勝利で平和が成し遂げられた国――スリランカの場合/真実を究明すべきか、平和のために忘却すべきか/50万人を犠牲にした戦争犯罪を、平和のために赦す?/僕がつくった学校の生徒が、虐
殺する側の兵士に/「子供司令官」の戦争犯罪は、罰するべきか/その場、その時に合った「人権」をつくってゆく

■5章 対立を仕切る
9条はいつまでも結論が出ない?/「良い世の中に」という思いが、世の中を傷つけるとき/対等、主体性って、何だ?/9で変わる?/ババ抜き状態だった武装解除/「利害のなさそうな介入者」だけができること/「日本の支援は、武装組織のためには使えない」/ドイツの葛藤と「本
気度」/力の空白はなぜできたのか/日本の「美しい誤解」/テロリストと「和解」すると、何が起こるのか/9条が変わって得する人、損する人は誰?/アメリカ大好きと言いながら、戦争を止めることは可能か?/「タリバン化する」核兵器保有国/武力衝突がエスカレートしなかっ
たのは、核のおかげ?/核の「後出しじゃんけん」は、個人でもできる/世界は福島から何を学んだか/冷たい現実と隣人の動向を踏まえて/対立を仕切る力/講義を終えて

あとがき

著者紹介

  • 伊勢﨑賢治(いせざき・けんじ)

    東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授。
    1957年東京都生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。
    インド留学中、スラム住民の居住権獲得運動を組織。その後、国際NGOに在籍し、アフリカで開発援助に携わる。国連PKO幹部として東ティモール暫定政府の知事、シエラレオネで武装解除、アフガニスタンでは日本政府特別代表として同じく武装解除を指揮する。
    著書に『インド・スラム・レポート』(明石書店)、『東チモール県知事日記』(藤原書店)、『武装解除』(講談社現代新書)、『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』(かもがわ出版)、『国際貢献のウソ』(ちくまプリマー新書)、『紛争屋の外交論』(NHK出版新書)、『日本人は人を殺しに行くのか』(朝日新書)などがある。
    アフガニスタンでトランペットを始め、定期的にジャズライブを開催している。

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