R.M.リルケ 言語的転向の軌跡
R.M.リルケ 言語的転向の軌跡
作品と書簡にたどる
植和田光彦
定価: 2,750円(本体2,500円+税)
在庫: 品切・重版未定
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「近代」の言語的危機が、フリードリヒによって中間的に位置づけられたリルケの言語作品を中心に考察。すなわちリルケの危機から転向への言語的軌跡の追跡が主題となる。
本書の全五章の構成は以下の通りである。まず、叙事詩「転向」についての考察、その分析と解釈が全体の中心部(第三章)を占めている。そこへ至る前半部では、まず同時代人ホーフマンスタールの若干の作品に鮮明に描き出されたモデルネの言語危機の最初の告知をとりあげ(第一章)、これを導きの糸としてリルケ中期の作品(『新詩集』『マルテの手記』)からその「転向」に至る言語的軌跡が追跡された(第二章)。そして後半部(第四章)では、叙事詩「転向」の直後に成立した、リルケの言語的転回を明白に証拠立てる三篇の叙事詩作品「嘆き」「ほとんどすべての事物から合図が……」「心の山上に曝されて……」のそれぞれにおいて、すでに各様に実現されている転向の言語的事態が検証・解釈され、続いて(第五章)で、さらにそれ以後の言語的変容の跡が辿られた。