だれも知らないムーミン谷

ページ数:216ページ / ISBN:9784255007786 / Cコード:0095 / 発売日:2014/05/01

だれも知らないムーミン谷
孤児たちの避難所

熊沢里美 定価: 1,598円(本体1,480円+税)

在庫: 在庫あり

だれもが憧れるユートピア成立の前史から、ムーミン一族の「もう一つの顔」が浮かんでくる。トーベ・ヤンソン生誕100周年、まったく新しいムーミン読解!

||||| 推薦 ||||| 伊藤俊治氏(東京藝大教授)
――私たちの知らないムーミンの驚くべき謎と秘密が明らかにされる。
自己を見つめ、他者との関係に悩み、深い孤独に襲われ、冬と死の世界に目覚め、大洪水や彗星の脅威に直面し、避難所さえ失い、白夜と極夜を巡りながら自立を目指し、新たな住処を探し求める。
カタストロフィー以後の世界を透明に生き抜こうとするその姿は、森に囲まれたムーミン谷という聖地に住む精霊たちの長い旅の記憶を解きほぐしてゆく。
本書にはアニメーションや絵本で見慣れたムーミンとはまったく異なった、私たちの現在と未来に直接語りかけてくる新しいムーミンが息づいている。

* * *

[あなたの知らないムーミン谷 Q&A]

Q. ムーミンって何者?
A. ヒントは、北欧民話に隠されています。

Q. ムーミンたちの出生のひみつとは?
A. 実は、ムーミン以外の谷の多くの住民は、谷の外から移り住んできた「孤児」だと考えられます。

Q. ムーミン谷には「もう一つの世界」がある?
A. もう一つの世界は「冬の世界」と呼ばれます。そこは、生き物の特徴、文化、コミュニケーション手段がまったく異なる世界です。

Q. ムーミンによる「世界再生」って?
A. ムーミンは作中のある何気ない行為により、作品世界を危機にさらしてしまいます。しかし、ムーミンの果敢な行動が、世界を蘇らせます。その行動は、震災後を生きる私たちにとってのヒントにもつながってきます。


[本文より]

「ムーミンたちが本当はどのような生き物で、彼らの住む谷はどのような場所なのか、その答えはアニメは言うまでもなく、原作、絵本、いずれにおいても一切語られていません。もしかすると、私たちは今まで肝腎な問題を見落としたまま、アニメを見ていたのではないでしょうか。」(第一章より)

「原作をめぐっては、これまでも冨原眞弓さんをはじめ、多くの研究書や関連本が出版されてきました。しかし、ムーミンの世界は、読者それぞれが受け取ってくれればよいので、あえて趣旨を語らないという著者トーベ・ヤンソンの意向があり、その意向を尊重する研究者の配慮がなされてきました。そのため、あらすじをたどる表面的な指摘に止まるものが多く、原作の内容に踏み込んだ読解は、いまだに充分とは言えません。それでは、アニメの平穏な世界だけが記憶され、原作のユートピアは理解されず、あまりに勿体ないのではないか、と私は思うのです。〔…〕今回、私はみなさんに原作(児童文学)を読み解くことで「(原作の)再生後のユートピア」をお伝えし、さらに「(アニメの)省略されたユートピア」に隠された本当の魅力を知ってもらいたいと思い、文章にまとめてみました。」(まえがきより)

目次

第一章 民話からたどるムーミン
第二章 孤児と災害
第三章 もう一つのムーミン谷
第四章 境界線の破壊
第五章 キャラクターの変貌
第六章 住人の大移動
第七章 ムーミンママとモラン
第八章 ムーミンの世界救済
第九章 共存のユートピアへ
第十章 ムーミンが語りかける未来


ムーミンの作品年表
ノート①キャラクターの設定変更
ノート②ムーミン谷の地図
ノート③原作の大改稿
ノート④挿絵の変化
ノート⑤ジェンダーフリーの谷
ノート⑥社会風刺のキャラクター
ノート⑦ムーミンとキリスト教
ノート⑧本国フィンランドの人気
ノート⑨マイノリティのユートピア

著者紹介

  • 熊沢里美(くまざわ・さとみ)
    1987年生まれ、福岡県北九州市出身。文筆家。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。在学中、北欧諸国の文化に興味を持ち、アイスランドを一人旅する。その後フィンランドやデンマークにも足を運び、北欧の精霊信仰や神話、民話、デザインについて学ぶ。小説やエッセイ、批評などを中心に幅広く執筆活動中。『本の窓』(小学館)に短編小説「ランナー」「家族写真」を掲載(2014年3・4月合併号、5月号)。

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