突然変異幻語対談
突然変異幻語対談
汎フィクション講義
筒井康隆 著 / 柳瀬尚紀 著
定価: 1,650円(本体1,500円+税)
「夢の木坂分岐点」で1987年度、谷崎賞を受賞した作家、筒井康隆氏と現在、ジェイムズ・ジョイスの大著「フィネガンズ・ウェイク」を翻訳中の英文学者・柳瀬尚紀氏による対談・往復書簡集。筒井氏の創作方法から、言語論・テキスト論を経て、新たな前衛文学の可能性についてまで、表現の行方を問う刺激的な試み。筒井氏によりマニフェスト「超虚構宣言」として収録。永く待たされていた一冊である。
柳瀬 例えば僕の気に入らない作家というのは、言語に対して暴力をふるうというのとは逆に、ある種のお世辞みたいなものに従属させるわけです。
筒井 いわゆる純文学らしい書き方、言い回し、単語にも流行のようなものがあって……僕にとって、暴力というのはむしろ、そういうのをかたっぱしから風化させ、茶化すことによって、日常言語の中に埋没させるということでもあるんです。