経済学を密室から解放し、様々な場所に、円環的探査を繰り出す第一線の民間エコノミストと、「すべては等価である」とするラディカリズムで、都市生活の「上澄み」を描き卓抜な都市論を生み出した作家が、日本の風俗現象をひき寄せて経済を語りあう。どんなに西洋文化をとり入れても本質的なところでは影響されない日本を、アジアの時代を視野にいれながら分析する。

竹内　本当に活きた情報というのは、フェイス・ツウ・フェイスの会話を通じて、たぶんただで行き来しているんでしょうね。
田中　情報だけで単独で商売できるような会社というのは、日本では……。
竹内　成り立たないと思いますね。日本は年功序列、終身雇用で、みんな一生同じ社会で働きますから、外部に頼むのでは惜しい。調査は教育投資になるから、内部でやると、多少コストが高くついたとしても、教育投資をかねると思えば、安いものです。