電子デバイスから発見された“１/fゆらぎ”は、生体情報から宇宙まで偏在する周期性の見えない変動。神経電波を支配し、進化に関与し、音を音楽に変える怪の波動。物理学と電子工学の境界領域で、長い間謎とされてきた電波雑音の研究から“ゆらぎ”の追求に入った武者利光と、サウンド・パフォーマーとして、国際的な活躍をする冨田勲が、ゆらぎ現象に解明のメスを入れる。

冨田　最初の時点で、非常に原始的な生物に進化したいという気持ちがあるという、これなんですよね、不思議なのは。最初はどっちの方向へ向かっていくか分からないわけでしょう。そうすると進化が進むという意味は、やっぱり便利になるということでしょうか。
武者　普通考えられているのは、いろんなゆらぎが発生し、その中で環境に一番適応したのが残ると言いますね。だからこそ、進化のためにはいろんな種の変化がランダムに出なくちゃいけないんです。