血が酩酊するとき
血が酩酊するとき
精神鑑定講義
福島章 著 / 村松友視 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
犯罪とは、いったい何であるのか。犯罪とは非常に孤独な、しかし彼らなりに生命をかけたパフォーマンスとはいえないか。ヒトが、関係性の中ではじめて人間として成立するという宿命を負っていると同じところに、犯罪の起源もあるのではないか。顕微鏡と望遠鏡の視線によって、昭和犯罪史を射ぬき、その孤独な祝祭の秘密をさぐっていく。
村松 犯罪をやる時にストーリーを頭に浮かべる人がいる、ということですね。演じている人間というのは、ちょっと狂気じみて見えたりしますね。その演じるという感覚は犯罪者にはありますか。
福島 たしかに犯罪はパフォーマンスではあるでしょう。でもどうなんでしょうか。(……)本当の自分と偽りの自分みたいなものがあってその間のギャップをふだんはうまく辻褄を合わせている。それがだんだん埋まらなくなってくる時があるわけです。そういうものを一挙に回復する必要が生じてくるわけでしょう。それが犯罪だ、というケースも多いと思うんです。