〈カン〉が〈読み〉を超える
〈カン〉が〈読み〉を超える
米長勝負論講義
米長邦雄 著 / 柳瀬尚紀 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
天才棋士米長邦雄の棋士道に題材を取る勝負論講義。将棋の世界を通した勝負感とその形成判断は誤読の読みによって鍛えられた無限の回路を創る。将棋の世界における矢倉(ヤグラ)は好例である。
第一講 天才・誤読・カン――第二課 盤上のハムレット――第三講 詰将棋の美学――第四講 無限の回路――第五講 逆転の構図――第六講 棋士道の遊次元
米長 将棋も裁判と同じで、強くなりますとお互いの言い分を聞くことになるんですね。将棋の場合の勝ちというのは相手の言い分を100のうち49聞いてやるんです。で、こちらが51の言い分を通す。わずか2点勝ちますね。だけど最後の結果で100対ゼロになってる。これがプロの将棋です。
柳瀬 将棋と裁判との類推、思ったこともないのでじつに新鮮ですね。
米長 それが弱い人は相手の言い分をいっさい認めない。おれがすべてだ。相手無視(笑)。相手も自分を無視している。お互いに無視する。ですから、子どもというのはすぐ喧嘩するんですよ。大人だとそこで我慢する。