嫌われるのが怖い
嫌われるのが怖い
精神医学講義
笠原嘉 著 / 加賀乙彦 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
精神障害をひき起す原因となる病気は、少くとも三種ある。脳の器質的障害から、内因性障害さらには純粋に精神的な困難によって起こるだろうと思われている適応障害、この三つがある。いい換えれば、「体」と「心」と「社会」の複眼的視野で生きている人間を治療しなければならない精神科医のアイデンティティを問いつつ、病像の変化、日本人に特異にあらわれるノイローゼ、精神病と文学創作の秘儀などを、精神医学を共通の基盤として論じる。
加賀 多様な価値体系を許容してくれる感じがしますね。笠原さんがおっしゃるように、孤独によって都会人は鍛えられているということもあるけれども、また逆に言うと孤独を許容されているということで、人間関係において保護的だとも思うんですよね。
笠原 そのへんの問題は考察に値しますね。これは社会心理学者に考えてもらうべきことがらなのか、それとも先ほども言いましたように、病気の話から精神医学者が考えざるを得ないのか。