エロスの美学
エロスの美学
比較文化講義
加藤周一 著 / 池田満寿夫 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
画家であり作家である池田満寿夫氏は、創作活動の核に、エロティックなるものへの追究があると、自らを語る。一方、古今東西にわたる美術・文芸に通じた加藤周一氏は、その大きな視野の中に、エロスの位置を定めながら、セザンヌの作品に接したときの驚きを率直に語る。美術の歴史を人間自身の自己発見の歴史として跡づけ、東西文化の差異も明らかにする。現代美術がさし示そうとしている方向を解き明かそうとする書である。
加藤 エロティックというのは、やはり純粋絵画的なものではないんでしょうね。
池田 現実の裸体そのものがエロティックかどうかという問題に係わりますが、人によってさまざまだと思いますね。
加藤 やはりエロティックな絵画は現実の方へ人を送り返すものではないかな。いわゆる理想化された女の裸像を描くと、現実へ送り返す作用が弱まるんじゃないかしら。
池田 そうでしょうね。