サルの檻、ヒトの檻
サルの檻、ヒトの檻
文化人類学講義
西江雅之 著 / 吉行淳之介 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
文化人類学の「文化」と文化人の「文化」のちがいの検討から講をおこし、人間が設定された状況の中で“どのようにか”生きており、その“どのようにか”生きているということの背景には、どこか集団的に一致した面が見られる。それが“ある文化”を定義するものであり、畢竟、人間は文化という“逃れられない檻”に入っているという。座談の名手が軽妙な語り口で、多才な人類学者から地球上の人間の生きざまを、エピソード風にひき出してゆく。
西江 ところがですね、下だけは着けていない。依然として裸なんです。それは着けていないというより、着けることができないんでしょうな。たぶん恥しくて(笑)。
吉行 ああ、なるほどね。恥しくて着けられない。それは理解できる。
西江 これは、人間とか文化というものについての象徴的な話ですよね。何を以て恥しいと感じるか、何をどうして恥しいと感じるのか。