古代人の伝言
古代人の伝言
考古学講義
森浩一 著 / 陳舜臣 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
遺物は、遺跡という意味生成の場を生きる。だが遺跡とは何か。遺跡は、さまざまな遺構を抱いて大地に密着して在るのだ。いま、学問としての動揺を経験している考古学の先端を、〈好古癖〉につきうごかされた作家の関心が横切る。中国とは本を比較しながら、遺物、遺構、遺跡を解き明かし、古代人の言葉に聴き入る。実験考古学など、新たな方法によって、人間学として、転生しようとしている考古学の、これは現場報告である。
森 なかには、縄文土器の文化とアイヌの文化とは密接な関係があるのではないか、ということを指摘しようとする方も出てこられた。梅原猛さんなんか……。
陳 梅原さんは、このごろアイヌに凝っているようですな。
森 やはり、言葉の類似性が、梅原さんを驚かしたのだろうと思うのですけど。そういうことも含めまして、アイヌの問題というのは、これから大いに考古学でやらなくてはいけないと思います。