親鸞
親鸞
親鸞講義
増谷文雄 著 / 遠藤周作 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
罪、苦、業とは何か、そして本願、念仏、救いとは。人々と共に苦しみ共に考えた親鸞と、父的宗教というべき旧約の世界に、母的な要素をもたらすことによってこれを改革したイエスとが、ふいに重なる。じっさい、慈悲とはフレンドシップのことではなかったか。しだいに熟していく親鸞の思想を追い、イエスやキリスト教の思想とひきくらべながら、〈無義の義〉や己証に結晶するに至る親鸞の到達点をうかがう。
増谷 実際、関東の門徒も念仏救済の理論的な根拠を得たいと、一所懸命に考えて問うてくるんですが、それに対して「無義の義」でなければいけないという一点張りですね。
遠藤 たびたび先生にご説明いただきましたけども、「無義の義」とは、絶対帰依と言いましょうか、すべてを委ねるということですね。
増谷 そうでございます。「無義をもて義とす」と出てまいります。