本能のジュークボックス
本能のジュークボックス
動物行動学講義
日高敏隆 著 / 戸川幸夫 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
生態学が種の生命の維持をテーマとするのに対して、エソロジーは、動物の行動を遺伝、進化、生理などの視点から見るのである。ミツバチの色認識、ゾウの鼻による地下水の探知、イヌをからかうテンなど、様々な行動の発現機構が、確率論やゲーム・セオリーによる解析、赤外線スコープや微小電極を用いる実験などによって明らかにされる。遺伝的に決定された行動パターンが、これも遺伝的に決まったリリーサーによって触発されるのである。
戸川 ネコは、雄同士がけんかして勝った雄が必ずしもだんなにならない。弱い負けた雄の方を雌が選ぶこともあるというんですが、キツネもそうなんですね。これはどういうふうな説明になりますか。
日高 だから、どうも種の優生学的なものではないらしいということなるんじゃないですか。もしも勝った方が絶対強くてということになれば、雌は自動的に勝った雄を選んでいくはずなんですよ。