何が性格を作るか
何が性格を作るか
性格学講義
宮城音弥 著 / 津島佑子 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
性格と呼ばれているものの限りない複雑さが、人間の豊かさを形づくっている。性格とはとりあえず〈行動の背後にある一種の傾向〉であって、先天的である〈気質〉、幼児期までに形成される〈気性〉など層をなしている。精神病はノイローセを、自然が行う実験と考え、これによって性格を分類し、こころという迷宮にふみ込む。このとき作家のまなざしと心理学者のそれとはどのように異るか。文学や神話学や哲学との協働の可能性を問う。
津島 気質と病気ということをお伺いしたいのです。分裂質という気質を持った人は、いつか分裂病を発病する危険がある、というふうに考えるべきなのか、あるいは、躁鬱質という気質を持った人は、何らかの原因がそこに加われば、躁鬱病になるといえるのか、ということですが……。
宮城 それは絶対にないんです。分裂質の人間が分裂病になるという必然性はないのです。比較的、分裂質の中から分裂病が出る可能性が大きいとは言えます。