生命をあずける
生命をあずける
分子生物学講義
渡辺格 著 / 小松左京 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
遺伝子治療、体外受精、クローン生物など、生物学の先端はいま新しい局面を経験している。種間雑種の可能性は、遺伝暗号の解読エラーによるミューテーションの問題を、進化のメカニズム解明に大きく近づけた。そして生命の起源と生体機構と脳のはたらきの誕生はどのように解かれようとしているのか。物理学でいえば古典力学に相当する分子生物学の現段階を、相対論・量子力学の段階に変換するモメントをさぐる。
小松 DNAレベルの非常に整然とした遺伝セオリーと、われわれが日常まわりを見回して目撃しているいろんな現象の一つのパターンと、そこのところをにわかに短絡させるわけにはいかない……
渡辺 まだ、そこはつながらないんじゃないですかね。簡単にはね。原理的につながるといっても、現実的にはまだつながっていないんじゃないですかね。たとえば、生物は全部遺伝子で決められているといっても、その遺伝子をどう変えたらどういうことになるかという結果はわからないのですね。