マルクスを読む
マルクスを読む
資本論講義
大内秀明 著 / 野坂昭如 著
定価: 1,056円(本体960円+税)
高度経済成長の終焉がいわれ、ガルブレイスのいう不確実性の時代をむかえて、いまふたたびマルクスのライフ・ワークが甦える。しかもマルクスにとって経済学はなによりも人間認識の学であった。人間と自然の物質代謝としての経済。この講義は〈商品―貨幣―資本〉という『資本論』の基本概念を闡明し、資本主義的商品経済の科学的読解を通して、円高ショック、サラ金など身近な経済現象を原理的に考えなおすことを教える。
野坂 経済学者というのは、いろんな経済現象をみて、それを『資本論』研究によって鍛えられた分析の仕方で結構、分かっちゃうもんですか。
大内 いや、初めのうちは、ぼくだってあれよあれよと、驚いて見ていた。しかし、そのうちに「ああ、これはやっぱり」というふうに見ます。「商社はけしからん」ということで、消費者はすぐカッカとくるわけです。たしかに、ぼくも商社はけしからんとは思います。しかし、ただ感情的に怒るということでは済まない。それは……資本主義経済全体の問題なんですね。