藤沢周平の読書遍歴

  • 藤沢周平の読書遍歴
判型:四六判上製 / ページ数:372ページ / ISBN:9784255011486 / Cコード:C0095 / 発売日:2019/12/21

藤沢周平の読書遍歴

鯨井佑士 定価: 2,530円(本体2,300円+税)

在庫: 在庫あり

外国文学研究者による画期的な藤沢周平論。少年時代の読書から始めて
直木賞受賞に至るまでの藤沢の読書遍歴をたどり、時代小説の作家藤沢周平が
形成される過程を明らかにする。ダビ「北ホテル」、カロッサ「ルーマニア日記」、
シュトルム「聖ユルゲンにて」、チェーホフ「谷間」、水上滝太郎「大阪の宿」、
神西清「恢復期」などを取りあげる。特に、外国文学の影響の重要性に光を当て、
藤沢文学を深く理解するための新しい知見を提供する。

目次

目次
はじめに
序説 特異な読書方法
(1)活字中毒の少年
(2)濫読から偏愛へ
(3)読書体験をめぐるエッセイ
第1章 少年雑誌と少年小説
(1)小学生時代の読書体験
(2)少年雑誌
(3)高垣眸「怪傑黒頭巾」
(4)高垣眸「まぼろし城」
(5)吉川英治「天兵童子」「神州天馬侠」
(6)山中峯太郎「敵中横断三百里」「亜細亜の曙」
(7)佐藤紅緑「英雄行進曲」
(8)藤沢時代小説の出発点としての少年小説
第2章 姉の蔵書
(1)長姉繁美
(2)姉の詩集─日本の近代詩
(3)日本の漢詩
(4)通俗恋愛小説
(5)菊池寛「第二の接吻」
(6)久米正雄「破船」
(7)吉屋信子「地の果てまで」
(8)牧逸馬「この太陽」
(9)牧逸馬「七つの海」
(10)恋愛心理と大衆小説の技法
第3章 文学開眼
(1)初めての蔵書
(2)吉田絃次郎『青鳩・生命の微光』
(3)絃次郎後日談「時雨のあと」
(4)『世界文豪読本 ジイド篇』
(5)『明治大正文学全集 有島武郎・有島生馬』
(6)『鴎外全集 第四巻・第十二巻』
(7)鴎外の歴史小説と旧友蒲生芳郎
(8)庄内の教学と日本思想
(9)漢詩─耿湋「秋日」
(10)平輪光三「長塚節・生活と作品」
第4章 師範学校から教員へ─乱読と習作
(1)山形師範学校と湯田川中学
(2)乱読の時代
(3)阿部次郎「三太郎の日記」
(4)長与善郎「竹澤先生と云ふ人」
(5)横光利一「旅愁」
(6)同人雑誌
(7)詩人としての出発
(8)三好達治
(9)丸山薫
(10)エドガー・アラン・ポー
第5章 結核療養所─句作と勉学
(1)運命の暗転
(2)篠田病院・林間荘
(3)野火止句会と「海坂」
(4)療養所俳句─愛別の句
(5)山本健吉『現代俳句』と篠田悌二郎
(6)青春の書─カロッサ「ルーマニア日記」
(7)カロッサの文学的影響─教養小説とユーモア
第6章 業界新聞記者─作家修行の時代
(1)日本食品経済社
(2)コラム「甘味辛味」─文章修練の場
(3)小説家志願
(4)懸賞小説応募
(5)業界新聞記者時代の読書
(6)『読切劇場』─小説家デビュー
第7章 直木賞受賞まで
(1)寄稿の中断─オール讀物新人賞への応募
(2)運命の理不尽さ─尾崎一雄「まぼろしの記」
(3)故郷の女性たち
(4)新人賞受賞から直木賞受賞まで
第8章 「残った本」(一)
(1)文学的マニフェスト─「残った本」
(2)ウジェーヌ・ダビ「北ホテル」
(3)市井ものの原点としての「北ホテル」─水都情景
(4)人生の実感と民衆の群像
(5)ポピュリスムの立場
(6)水上滝太郎「大阪の宿」
第9章 「残った本」(二)
(1)シュトルム「聖ユルゲンにて」─純愛小説の原点
(2)「みずうみ」─郷愁と叙情
(3)チェーホフ「谷間」
(4)神西清「恢復期」
(5)その他の本
第10章 読書体験の意味─藤沢文学の成立
(1)苦の受容と文学による救い─生き方を求めて
(2)読書体験の重層性
(3)都市空間から海坂藩のコスモスへ
(4)藤沢文学の成立
あとがき
文献表

著者紹介

  • 鯨井佑士(くじらい ゆうじ)
    昭和17年東京生まれ。東京外国語大学フランス語科卒業。
    東京大学大学院修士課程(仏語仏文学)修了。パリ第4大学に留学。
    宇都宮大学名誉教授。放送大学栃木学習センター元所長。
    著書『アンドレ・シェニエとその時代』(駿河台出版社)など。

ご意見・ご感想

*ご意見・ご感想

*お名前
(ハンドルネーム)

*メールアドレス

年齢

都道府県

職業

お買い上げ書店名

公開