神様の住所
神様の住所
九螺ささら 著
定価: 1,870円(本体1,700円+税)
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短歌が入口で、宇宙が出口。
俵万智、穂村弘、東直子と続く革新短歌の宇宙を、
哲学的な輝きで新たに飲み込む。
立ち読み(PDF)
第28回(2018年度)Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞!
「慣れ親しんできた言葉が別の相貌をまとい、
ふだん使っていない頭の部位がマッサージされる」
……大竹昭子氏選考
〈体積がこの世と等しいものが神〉夢の中の本のあとがき (哲学)
徹子の部屋の窓から見えてたえいえんみたいな二個目の太陽 (黒柳徹子)
何度寝て何を入れてもわたしとはたわしにならない固有のわたし (質量保存の法則)
たましい、無限、黒柳徹子、味の素、なぞなぞ--
84の多彩なテーマごとに、
「短歌」→「自己解説(風文章)」→「短歌」の三段階で構成。
短歌と散文、感情と理性が響き合って、
世界の新しい風景があふれだす。
歌集でもなく、エッセイ集でもない。
言葉がきらめく超新星、鮮やかすぎるデビュー作!
84の収録テーマ
体と心/さびしいから/魔法/アナグラム/絵画/ゲシュタルト崩壊/黒柳徹子/レシピ/地図/哲学/なぞなぞ/クラゲ/前略/レーズンバター/
濁点/両生類/因果関係/エロス/味の素/部首/たましい/物理/ふえるワカメ/無限/枕/基準/神様/対/重複/生まれ変わり/境界/シベリア/
鬼籍/アレの名は/住所/いつか/オノマトペ /夢/額縁/トマトと的/漢字/端/絵のような文字/オブラート/絵日記/質量保存の法則/デジャヴ/今/
同音異義・異音同義/数な言葉/箱または穴/まちがい探し/種/音楽としての短歌/水/匂い/ストロー/地名/丸い三角/分かる/言葉にならない/
ものごころ/〇〇用/記憶/似て非なるもの/不思議四文字/省略/丘の上/ゼリーフライ/動物/菌類/アイムカミング/比喩/脚本/同心円/
G線上のマリア/さんたんたる鮟鱇/生け贄/岡本太郎とムンク/ベン図/公園/中身/聖書/幸福
書評
彼女は、世界の至るところから詩の断片を見つける名人だ。〔…〕既存のいかなる書き手とも違う才能が、ここに開花したのだ。
松村由利子さん(西日本新聞/北海道新聞)
言葉と戯れて、言葉に遊ばせながら、ふとした拍子にはるか遠くにそのまなざしが吸い寄せられる。
野矢茂樹さん(朝日新聞)
エッセイ部分は一見ゆるゆるしていながら、触発的。哲学的考察への窓としても存分に機能する。
大澤聡さん(毎日新聞)
歌集、とはにわかに断定しがたい、魅力的な本に仕上がった。
陣野俊史さん(日経新聞)
九螺さんの短歌とエッセイを組み合わせた示唆深い一冊。
東直子さん(『ゆめのほとり鳥』書肆侃侃房 解説)
人生がどうしようもなくなった時に、体からあふれだしてしまうものがある。私が私という形の器を守るための防衛本能だ。私にとってそれは絵を描くことだったり、文章を書くことだったりしたのだが、
大人になるにつれて、喉元までせりあがってきているはずの“それ”が体の外へ出てこなくなってしまった。吐き出した方がいいに決まっている。無理矢理飲みこんだそれは、胃の底へ薄く積もり続け、濁った澱になるだろう。
だから、ささらさんがあとがきに書いている、「花吐き病」というのはとてもよくわかるのだ。そして、「あれ」を花として吐けるささらさんのしたたるような才能にただひたすらに打ちのめされている。
なんだこの才能は。伝説の幕開けに私達は今立ちあっているのではないか。これはどこかの誰かの運命の1冊になりうる、ものすごい力を秘めている本だ。
櫻井美怜さん(成田本店みなと高台店)
まずはシンプルに、面白いです。
「お笑い」に「なんで面白いのか」という解説があってもしょうがないように、
詩や短歌に解説があるのは、(それ自体が勉強になることはあっても)不粋なことだと思うんです。
でも「神様の住所」は、その詩の面白さの要素が、感覚的に具体性をもって伝わる程度までに分解されていて、
しかもそれが再建築されているというところが、いままでにないし、新しい。
なんとなくこういう本があったらいいなあというのが具現化した感じです。
個人的には、クラササラさんの詩には「かたち」があるように感じられるものが多いです。
感覚的だけどなんか法則のもとに書いている、ような気にさせられるのは、この本のためにわざとそうしているからでしょうか?
前田隆紀さん(かもめブックス)
ふだんあまり短歌を読むわけではありません。でも、時々はっとするような歌に出会うことがあり(これは俳句もそう)何度も何度も舌の上で転がして、反芻したりします。
それはちょっと他に代え難い。
というわけで、今年の夏はこの本が反芻本。
小国貴司さん(BOOKS 青いカバ)
ラムネやゼリーを食べる/食べたい時みたいな文章と思いました。
夏に向けて素敵な売場にしてくれそうで楽しみです。
林香公子さん(ブックファースト新宿店)
言葉と真剣に遊んでいるところが素敵です!
清水和子さん(正文館書店知立八ツ田店)
私は普段このジャンル(短歌)は読みませんが、今回読んでみて「夢の中」「宇宙」といった言葉に合うように不思議でありながらどこか日常で感じたことのある感覚でした。
夢見心地でなくリアルに私が感じたことのある作品で、「さびしいから」という作品が私は一番リアルでありながら普段考えない感覚がしてとても印象に残りました。
自己解説がついていることにより読者もより理解を深められ、一つの物語のように読むことができました。
髙橋沙弥さん(くまざわ書店ジョイナステラス二俣川店)
読んで字の如く短い歌の中に宇宙を閉じ込めるその業。
歌人曰く、短歌を「吐いた花の器」に選んだ…だが、短歌もまた九螺ささらを選んだ。
また注目すべき感性と才能が現れた。その注目はこの歌人と、そして短歌という文学全体に向けられる。
日野剛広さん(ときわ書房志津ステーションビル店)
歌人のエッセイで素晴らしいのは穂村弘さんが1番でしたが、今は九螺さんが最高です! 理屈っぽいようでいてするどく感覚的。
漢字でつつじとどくろは似ていると思っていましたが、しゅうせんとくつかばんには笑ってしまいました。
読んでいると、ずーっとこの不思議世界にひたっていたくなります。
もー大好きです!
内田めぐみさん(八重洲ブックセンター本店)