私は三年間老人だった
私は三年間老人だった
明日の自分のためにできること
パット・ムーア 著 / 木村治美 訳
定価: 1,430円(本体1,300円+税)
在庫: 品切・重版未定
オンライン書店で購入する
愛と勇気のノンフィクション
工業デザイナーである26歳の女性が、高齢者の気持ちを知るために特殊メイクで85歳の老人に変装し3年間にわたって調査した、愛と勇気の潜入レポートから彼女が得たものとは??。鋭い観察眼で老人問題をえぐり、全米に一大センセーションを巻き起こしたノンフィクション。
新鋭工業デザイナーであるパット・ムーアが大胆な変装を試みたのは、見た目に美しいデザインの数々が、年を取った人たちの使い勝手を考えているかどうかを疑問に感じての行動だった。
完璧な老婆に変装してニューヨークの街中へ飛び出していった彼女は、普段は愛想のいい文房具店の店員が、老女になった彼女に対して無愛想でヒステリックに対応したり、雑貨屋の店員がわざとおつりをごまかそうとする事態を経験する。さらに、ニューヨークのハーレムでチンピラたちからは、いまでも後遺症が残るほどの暴行を受け、老人たちがいかに弱く、疎まれた存在であるかを痛感する。
高齢者だというだけで、周囲から受ける冷たい対応、あざけり、偏見、無視、差別を目の当たりにし、高齢者が阻害されない社会を作るにはどうしたらいいのか??。人を観る確かな観察眼と鋭い感受性、あふれる優しさを持つパット・ムーアが、貴重な体験を通じて得た、ユニヴァーサルデザインという考え方こそ、社会に、そして若い世代の人々へのメッセージとして贈る。
本書は1988年6月に小社より『変装?私は三年間老人だった』として刊行されたものに、ロジャー・コールマン氏による「本書を推す 世の中を変える洞察力」、パット・ムーア氏による「あとがき 二十五年を振り返って」を加えて『私は三年間老人だった?明日の自分のためにできること』として復刊したものです。