現代社会の存立構造/『現代社会の存立構造』を読む
現代社会の存立構造/『現代社会の存立構造』を読む
真木悠介 著 / 大澤真幸 著
定価: 3,080円(本体2,800円+税)
在庫: 在庫あり
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戦後社会学の必読文献、待望の復刻!
高弟・大澤真幸による懇切な解題および発展的論文を併録。
■現代社会の存立構造――真木悠介
──『現代社会の存立構造』は、日本を代表する社会学者・見田宗介による、透徹した近代社会論です(筆名:真木悠介、1977年、筑摩書房刊)。
──マルクス『資本論』を社会現象や意識形態にまで拡張し、現代社会を理解するための基本的なフレームワークを提示しています。
──人間の労働と他者との交換を通じて、私たちの生が、いかにして疎外へと転回するのか。本来は他者との関係を媒介する道具にすぎないもの(貨幣、国家、理念など)が、いかにして神のごとき主体へと転ずるのか、を追究しています。
──世界的にも稀な達成であり、今日でもその重要性はいささかも薄れていません。これまで文庫や「定本著作集」(岩波書店)に未収録であった本書を完全復刻します。
■『現代社会の存立構造』を読む――大澤真幸
──本書の後半部、真木悠介の著作とほぼ同等の分量を占める「『現代社会の存立構造』を読む」は、前篇「解題」と後篇「『現代社会の存立構造』の行為事実を読む」から成ります。
──前篇「解題」は、『存立構造』を読もうとする初学者がつまずきかねない二つの要素――削ぎ落とされた文体、そして現在ではなじみの薄くなった概念や用語――をできるだけわかりやすくするために執筆されました。『存立構造』の互いに対応する第I部と第II部を統合し、懇切丁寧に解説しているので、正確な読解の確認、論点の整理にも役立ちます。
──後篇「『現代社会の存立構造』の行為事実を読む」は、『存立構造』を、著者・真木悠介の意図を超えて(著作の症候的、無意識的な水準において)読み解くものです。『存立構造』はトートロジーではないかとの嫌疑を晴らし、「Aへの疎外」「Aからの疎外」という二重の疎外の基底に、テクストには明示されていない、もう一つの疎外を見出します。「準古典」に対する、高弟・大澤真幸による創造的な読解です。
目次
まえがき――大澤真幸
■現代社会の存立構造――真木悠介
I 現代社会の存立構造──物象化・物神化・自己疎外
序 存立構造論の問題──社会科学へのプロレゴーメナ
一 社会諸形象の〈客観的〉存立の機制──物象化の原基的論理
二 疎外=物神化の上向的次元累進──物象化の重層的構成
三 経済形態・組織形態・意識形態──物象化の総体的展開
結 存立構造論の展開
II 疎外と内化の基礎理論──支配の論理と物象化の論理
序 外化をとおしての内化──労働の回路と交通の回路
一 外化の疎外への転回──収奪の論理と物象化の論理
二 共同体的な回路の転回──第一水準・疎外=収奪
三 商品世界の存立構造──第二水準・疎外=物象化
四 市民社会的回路の転回──第三水準・物象化的な収奪
五 資本制社会の存立構造
あとがき
■『現代社会の存立構造』を読む――大澤真幸
読解の二つの段階
『現代社会の存立構造』解題
序 外化をとおしての内化
一 外化の疎外への転回──収奪の論理と物象化の論理
二 共同体的な回路の転回──1〈疎外⇔収奪〉
三 商品世界の存立構造──2〈疎外⇔物神化〉
四 市民社会的回路の転回──3〈疎外⇔蓄積〉
結 物象化の総体的な展開──経済形態・組織形態・意識形態
『現代社会の存立構造』の行為事実を読む
一 トートロジーという嫌疑
二 行為事実的な媒介
三 社会現象の転換ヒステリー
四 Rの謎とその発展
五 三位一体論
六 行為としての思考
七 剰余価値の問題
八 「Aからの疎外」から「Aへの疎外」へ、そしてもう一つの疎外
結 「それ」を直視できるときは……
あとがき――大澤真幸