CNNEE見本誌請求はこちら
CNNEE見本誌請求はこちら
会員ログイン 新規登録




 ビジネス英語のプロ・高島康司、E-DICを使う(2)
 第2回 「和製英語の罠には引っかかるな」

 日本国内にいながら英語で話したり書いたりしていると、ときどき変な間違いをすることがある。

 日本にはカタカナ語があふれていて、これらの多くのものは和製英語だが、それは私たちが日々使う日本語と完全に同化している。それが日本製であることはめったに意識しない。頭では分かっているのに、英語でも同じ表現を使うものだと無意識に思いこんでしまっていることに気づく。

 そして実際に英語を使う段になると、そうした和製英語がひょいと口から出てしまっているのだ。「あ、しまった!」と思ったときにはもう遅い。

 そんな表現のひとつに「マイペース」がある。
 「マイペース」は完全な和製英語だ。ネイティブに向かって“He's my pace.”などと言おうものなら、相手はキョトンとしてこちらを見ることだろう。意味は通じないのである。
 英語では“at one's own pace”という表現が一般的だ。頭では十分に分かっていたはずなのに、口から出てこなかったことが悔しい。

 二度と同じ間違いは繰り返さないぞ、との気持ちで「マイペース」を E-DIC で検索してみた。すると、さすがに E-DIC だ。次のような例文と解説が出てきた。

● go one's (own) way
マイペース(でいく)

(以下『E-DIC』より引用)


「マイペース」だからといって my pace とやるのは不十分。英語で pace と言うと「ゆっくり」とか「速く」といった「速度」しか意味しないからだ。

「わが道を行く」「やりたいようにやる」の意味の場合なら I go my way. である。

get を使って I'll get my way. とすると、「自分のわがままを通す」という感じになるので注意。

〔例〕That child will cry, flatter, threaten or do anything else to get her own way.
(あの子は自分のわがままを通すためには、泣いたりお世辞を言ったり脅したり何でもする)

なお have one's way だとどちらの意味にもなる。ほかにガラリと言い回しを変えて、 She'll never let anything in the world bother her. としても「彼女はマイペースだ」の感じは出せよう。

 元は書籍版だった各種辞書も収録コンテンツとしている E-DIC は、その解説の詳しさは他の辞書の追随を許さないと思う。

 ところで、語学は何度も間違いを繰り返しながら覚えてゆくほかないものである。簡単な近道なぞない。それには、正しい表現の形を徹底的に体にすり込ませていく反復練習が要求される。その意味では、語学は剣道の「素振り千回!」の世界とよく似ている。

 この点では E-DIC は学習者にとって最良のツールである。正しい表現をしっかり学ぶことはもっとも重要だ。だが、誰しも和製英語の罠には引っかかる危険性はある。そのたびに本来の正しい表現を E-DIC で学び直すのである。そのような反復学習こそ語学の習得にもっとも必要なものであるはずだ。

 英語上達を目指すのであれば、まずは E-DIC をインストールしたPCを横に置き、その解説の的確さと豊富さを実感してみてはいかがだろうか。かならず満足の行く結果が出るはずだ。

(たかしま・やすし) 北海道札幌市に生まれる。早稲田大学卒業後、大手語学学校で教材・コースの開発や講師研修、企業研修等を担当。現在、企業向けに語学および IT 関連の研修、コンサルティング業、通訳業のほか、「ヤスの英会話」を主宰。
著書: 『CD-ROM付き 英文ビジネスレター実用フォーマットと例文集』 『実践英文ライティング入門』 『CD-ROM付き 音声読み上げソフトで練習する速読即解英文リーディング』 『CD-ROMを使った英会話「英訳」トレーニング』 (以上 ベレ出版)
『英文 e-mail実践ライティング講座』 (ヒューマンアカデミー)
『少し使える人の「確実に意思が伝わる英会話」トレーニングブック』 (明日香出版社)
『その英語 ネイティブはゼッタイ使わない!』 (あさ出版)