絵でよむ百人一首
絵でよむ百人一首
渡部泰明 著
定価: 1,540円(本体1,400円+税)
在庫: 品切・重版未定
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「『百人一首』は人生の教科書である」と語る渡部泰明(東京大学大学院教授)の平易で心に染み入る新訳と解説、絵を一緒に味わうヴィジュアル版百人一首の決定版!
恋に限らず、和歌はたいてい叶えられない気持ちを歌います。それは、和歌には理想があるからです。理想を強く願う――「願う」とは「乞う」すなわち「恋う」ことですね――、だからこそそれが実現しないという悲しみを、進んで引き受けることができる。いやなこと、辛いことも、もっとずっと大きな悲しみで包み込んでしまえる。『百人一首』の歌々は、とりわけそういう理想を大事にしているのだと思います。だから人生の教科書だと思うのです。(「はじめに」より)
目次
秋の田のかりほの庵の苫をあらみ/わが衣手は露にぬれつつ
春過ぎて夏来にけらし白妙の/衣干すてふ天の香具山
あしびきの山鳥の尾のしだり尾の/ながながし夜をひとりかも寝む
田子の浦にうち出でて見れば白妙の/富士の高嶺に雪は降りつつ
奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の/声聞く時ぞ秋は悲しき
鵲の渡せる橋に置く霜の/白きを見れば夜ぞ更けにける
天の原ふりさけ見れば春日なる/三笠の山に出でし月かも
わが庵は都の辰巳しかぞ住む/世をうぢ山と人はいふなり
花の色はうつりにけりないたづらに/わが身世にふるながめせしまに
これやこの行くも帰るも別れては/知るも知らぬもあふ坂の関〔ほか〕