ネコのヒゲは脳である
解剖学講義
養老孟司+島田雅彦
ISBN4-255-00278-9 C0047  
四六判(128×188)/288頁
定価1680円(本体1600円+税)


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『バカの壁』の原点、ここにあり! 若き作家が解剖学教室を訪ねた、20年前の個人授業が復活!! 人間と動物の不思議にはじまり、言葉や社会を骨の髄まで解剖する。

 [目次をご紹介します……]

養老 ヒゲの数が増えれば、脳の神経細胞の集団が増えます。とってしまえば、逆になくなってしまう。完全になくなるんではないんですけれど、とにかくある反応を起こして、変わってしまう。このことを極端に押していって、中枢は末梢の奴隷であるという考えを述べる人もいます。知覚系そのものは、実は脳の一部であるという考え方も出来るわけですね。……本文より

二十年後のあとがき(島田雅彦)
 二十年前、朝日出版社ではレクチュア・ブックスというシリーズが随時刊行されていて、私もそれらに啓蒙された読者の一人だった。すでにいくつかの小説を発表していたとはいえ、大学を卒業して間もない若造だった私はこのシリーズの教え子になるよう誘われた。是非とも自然科学の専門家の教えを請いたいと思い、当時まだ四十代だった養老先生を指名させていただいた。今は私自身が当時の養老先生の年齢に近づき、大学で文学を講じる身にもなっているが、この講義録にはまだ危ないことを考えたがる少年の名残りを引きずる過去の自分が顔を覗かせていて、赤面せずには読み返せなかった。ページを繰るたびに、もう少し勉強しろよ、頓珍漢な質問するなよ、といいたくなった。この本の復刊は私の恥を晒すことにもなるのだが、私の人間理解に大きな影響を及ぼしたという意味では、ここに私の原点があるといってもいい。空前のベストセラーになった『バカの壁』だが、私は二十年前に養老先生からじきじきにその講釈を受けていたことを自慢したい。
 養老先生との出会いは死体との出会いでもあった。先生は解剖学を通じ、私に「メメント・モリ(死を想え)」と呼びかけたのだ。……[以下略]

著者紹介
養老孟司(ようろう・たけし)  1937年神奈川県生まれ。東京大学医学部卒業。専攻は解剖学。89年『からだの見方』でサントリー学芸賞を受賞。他の著作に『形を読む』『ヒトの見方』『唯脳論』『カミとヒトの解剖学』『運のつき』などがある。2003年『バカの壁』が記録的なベストセラーとなり、04年続編の『死の壁』を刊行。北里大学大学院教授、東京大学名誉教授。
島田雅彦(しまだ・まさひこ)  1961年東京都生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒業。83年『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー。84年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、92年『彼岸先生』で泉鏡花文学賞を受賞。2003年には代表作たる〈無限カノン〉三部作『彗星の住人』『美しい魂』『エトロフの恋』が完結した。法政大学国際文化学部教授。