現代社会の存立構造/『現代社会の存立構造』を読む

  • 現代社会の存立構造/『現代社会の存立構造』を読む
判型:四六判 / ページ数:344ページ / ISBN:9784255007892 / Cコード:0095 / 発売日:2014/09/30

現代社会の存立構造/『現代社会の存立構造』を読む

真木悠介 著 / 大澤真幸 定価: 3,080円(本体2,800円+税)

在庫: 在庫あり

戦後社会学の必読文献、待望の復刻!

高弟・大澤真幸による懇切な解題および発展的論文を併録。

■現代社会の存立構造――真木悠介

──『現代社会の存立構造』は、日本を代表する社会学者・見田宗介による、透徹した近代社会論です(筆名:真木悠介、1977年、筑摩書房刊)。
──マルクス『資本論』を社会現象や意識形態にまで拡張し、現代社会を理解するための基本的なフレームワークを提示しています。
──人間の労働と他者との交換を通じて、私たちの生が、いかにして疎外へと転回するのか。本来は他者との関係を媒介する道具にすぎないもの(貨幣、国家、理念など)が、いかにして神のごとき主体へと転ずるのか、を追究しています。
──世界的にも稀な達成であり、今日でもその重要性はいささかも薄れていません。これまで文庫や「定本著作集」(岩波書店)に未収録であった本書を完全復刻します。


■『現代社会の存立構造』を読む――大澤真幸

──本書の後半部、真木悠介の著作とほぼ同等の分量を占める「『現代社会の存立構造』を読む」は、前篇「解題」と後篇「『現代社会の存立構造』の行為事実を読む」から成ります。
──前篇「解題」は、『存立構造』を読もうとする初学者がつまずきかねない二つの要素――削ぎ落とされた文体、そして現在ではなじみの薄くなった概念や用語――をできるだけわかりやすくするために執筆されました。『存立構造』の互いに対応する第I部と第II部を統合し、懇切丁寧に解説しているので、正確な読解の確認、論点の整理にも役立ちます。
──後篇「『現代社会の存立構造』の行為事実を読む」は、『存立構造』を、著者・真木悠介の意図を超えて(著作の症候的、無意識的な水準において)読み解くものです。『存立構造』はトートロジーではないかとの嫌疑を晴らし、「Aへの疎外」「Aからの疎外」という二重の疎外の基底に、テクストには明示されていない、もう一つの疎外を見出します。「準古典」に対する、高弟・大澤真幸による創造的な読解です。

目次

まえがき――大澤真幸

■現代社会の存立構造――真木悠介

I 現代社会の存立構造──物象化・物神化・自己疎外
序 存立構造論の問題──社会科学へのプロレゴーメナ
一 社会諸形象の〈客観的〉存立の機制──物象化の原基的論理
二 疎外=物神化の上向的次元累進──物象化の重層的構成
三 経済形態・組織形態・意識形態──物象化の総体的展開
結 存立構造論の展開

II 疎外と内化の基礎理論──支配の論理と物象化の論理
序 外化をとおしての内化──労働の回路と交通の回路
一 外化の疎外への転回──収奪の論理と物象化の論理
二 共同体的な回路の転回──第一水準・疎外=収奪
三 商品世界の存立構造──第二水準・疎外=物象化
四 市民社会的回路の転回──第三水準・物象化的な収奪
五 資本制社会の存立構造

あとがき

■『現代社会の存立構造』を読む――大澤真幸

読解の二つの段階

『現代社会の存立構造』解題
序 外化をとおしての内化
一 外化の疎外への転回──収奪の論理と物象化の論理
二 共同体的な回路の転回──1〈疎外⇔収奪〉
三 商品世界の存立構造──2〈疎外⇔物神化〉
四 市民社会的回路の転回──3〈疎外⇔蓄積〉
結 物象化の総体的な展開──経済形態・組織形態・意識形態

『現代社会の存立構造』の行為事実を読む
一 トートロジーという嫌疑
二 行為事実的な媒介
三 社会現象の転換ヒステリー
四 Rの謎とその発展
五 三位一体論
六 行為としての思考
七 剰余価値の問題
八 「Aからの疎外」から「Aへの疎外」へ、そしてもう一つの疎外
結 「それ」を直視できるときは……

あとがき――大澤真幸

著者紹介

  • 真木悠介(まき・ゆうすけ)
    見田宗介。1937年東京都生まれ。東京大学名誉教授。現代社会論、比較社会学専攻。著書に、見田宗介名で『現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来』(1996年)『社会学入門―人間と社会の未来』(2006年)『宮沢賢治―存在の祭りの中へ』(いずれも岩波書店、1986年)などがあり、真木悠介名で『気流の鳴る音―交響するコミューン』(筑摩書房、1977年)『時間の比較社会学』(1981年)『自我の起原―愛とエゴイズムの動物社会学』(ともに岩波書店、1993年)及び本書『現代社会の存立構造』(初版、筑摩書房、1977年)などがある。『定本見田宗介著作集』(全10巻、2011-12年、毎日出版文化賞)『定本真木悠介著作集』(全4巻、2012-13年、ともに岩波書店)には、半世紀に及ぶ業績が、著者自身による新編集を経て体系的に示されている。本書『現代社会の存立構造』は上記著作集に含まれない。

    大澤真幸(おおさわ・まさち)
    1958年長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任。著書に、『行為の代数学』(青土社、1988年)『虚構の時代の果て』(筑摩書房、1996年、増補版2009年)『ナショナリズムの由来』(講談社、2007年、毎日出版文化賞)『不可能性の時代』(岩波新書、2008年)『〈自由〉の条件』(講談社、2008年)『社会は絶えず夢を見ている』(朝日出版社、2011年)『〈世界史〉の哲学』(古代篇、中世篇、東洋篇、講談社、2011-14年)『夢よりも深い覚醒へ―3・11後の哲学』(岩波新書、2012年)などがある。

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