青い空カンガルー、コアラも笑う珍道中

オーストラリアは広くて大きい大陸だ。そこに不思議が詰まっている。一つ一つが神秘の手ざわりだ。そしてムツさん、その神秘の中から、人や日本の問題を拾い上げる。タスマニアタイガー、ワラビーのラビ、ラクダの旅。ほっとしてしみじみする、オーストラリアのすてきな旅。

広く、そしてまた広い新しい大地がそびえていた。実際は海に続く平らな土地であったが、緑の輝きにはダイヤの光沢があり、胸にせまって天へと届いていた。
私たちはオーストラリアを四十日かけて旅し、その不思議さのとりことなって、三度、四度とさらなる旅をした。カンガルーを代表とする有袋類は、私にとって新しい天体であった。好奇心がオーストラリアの風で磨かれ、鋭いドリルになるのを私は感じた。ナチュラリストだったら、この土地に足を踏み入れると、しばらく言葉を失う。（本文より）